学会誌「コンピュータソフトウェア」

「ソフトウェア論文」について

日本ソフトウェア科学会編集委員会は,ソフトウェア研究の深化を目指すのみならず,先進的なアイデアを実現したソフトウェアの開発と普及を一層推進することを目的として,学会誌『コンピュータソフトウェア』の論文カテゴリとして「ソフトウェア論文」を新設いたしました.

発想,構成法,実装法などの点で優れ,実際に我々が使うことのできる先進的ソフトウェアの開発成果や,ソフトウェア設計・作成上の有益な知見を与える開発成果を学術論文としてまとめることを奨励し,その掲載を通じてソフトウェア文化の発展に寄与してゆきたいと考えています.

しかし,ソフトウェア論文は従来の研究論文と異なり,どのようなソフトウェアについてどのような観点から論文を執筆すれば学術論文として認められるかに関して十分な社会的合意があるわけではなく,このことがソフトウェア開発の論文化の妨げとなってきました.

本「ソフトウェア論文」特集はこの問題を打破すべく企画したものです.優れたソフトウェア成果を積極的に論文化してご投稿いただき,編集委員会での議論と査読・改訂のプロセスを経ることによって,「良いソフトウェア論文」に関する合意を形成し,その具体例を実際に示すことを目標としています.
 

対象ソフトウェア

ソフトウェア論文の対象となるソフトウェアは多岐にわたります.

  • プログラミング言語処理系
  • オペレーティングシステム
  • ネットワークソフトウェア
  • インタラクティブソフトウェア
  • 形式的技法支援ソフトウェア
  • ソフトウェア開発支援ツール
  • 応用ソフトウェア
  • その他先進的ソフトウェア

ただし,学術論文に求められる成果の再現性や有用性の観点から,以下のことが強く望まれます.

  • そのソフトウェアを一般読者が容易にかつ無料で使用できること
  • 構成法,実装法に力点を置くソフトウェアにおいては,ソースコードが無料で閲覧できること

 

論文の内容

ソフトウェア論文はソフトウェア紹介とは異なり,そのソフトウェアの利点をアピールしていただくことが必要となります.当該ソフトウェア作品の全体像の紹介は必要ですが,必ずしもすべての側面(設計,実装,性能など)を詳細に網羅した総合報告とする必要はありません.しかし当該作品のセールスポイントとなる部分に対しては十分に論述を行ってください.また,ソフトウェアの制作過程で行ったさまざまな選択 (design choices) について論述するように心がけて下さい.

ソフトウェア自体に関する記述に加えて,普及の努力,ソフトウェアの進化,ユーザコミュニティの形成,システム管理・保守業務に伴うソフトウェアの統合・運用などの経験に関する論述も歓迎します.

ソフトウェア論文においては,対象ソフトウェアの作品としての完成度は重要なポイントとなります.一方,研究的な新規性をもつことは必要条件でも十分条件でもありませんが,研究的な新規性があれば,それを実現したことがメリットとして評価されます.
 

ソフトウェア論文賞について

『ソフトウェア論文賞』が2008年11月27日に制定されました.詳しくは以下をご覧下さい.
ソフトウェア論文賞表彰規定

 

問合せ先

論文の投稿を検討している方からの質問を歓迎します.editor @ jssst.or.jp あてにお送りください.本特集号に関するQ&Aもご参照ください.