チュートリアル: 計算機科学者のためのゲーム理論入門

講師: 横尾 真(九州大学)
日時: 9月8日(火) 14:00~18:00
場所: 63号館第4会議室

チュートリアルの参加費,および参加申し込み方法は、第32回大会の参加申し込みのページに記載されています.


チュートリアルの概要

ゲーム理論とは,おおざっぱにいって,相互作用を及ぼす複数の主体の振る舞いに関する理論であり,応用数学の一分野である.

近年の情報ネットワークの発達により,計算機科学の守備範囲が,単一の計算機で実行されるプログラムのみならず,ネットワークで通信し合う複数のプログラムへと広がっている.これらのプログラムは,それぞれ異なる利害関係を持つ人間/企業を代表する場合もある.このような状況をモデル化するための理論としてゲーム理論が注目されている.

本チュートリアルでは計算機科学者の視点にたって,ゲーム理論の諸概念を平易に解説し,境界領域の先端的な研究事例の紹介を行うことを目的とする.

具体的には,まず,ゲーム理論の基礎となる標準形の非協力ゲームについて概説する.標準形の非協力ゲームでは,複数のエージェントが自身の利得の最大化を目指して,独立かつ同時に行動を選択する.各エージェントの利得は,自身の行動と他のエージェントの行動の組合せにより決定される.非協力ゲームの帰結を予測するために,様々な均衡概念が提案されている.本チュートリアルでは,標準形の非協力ゲームの基礎となる用語と均衡概念について概説する.

さらに,ゲーム理論を用いて現実的なマーケットの設計を行うマーケットデザインに関して,典型的な応用例として,金銭が介在するオークションのマーケット設計,および金銭が介在しない両方向マッチングについて概説する.


講師からのメッセージ

ゲーム理論は一種の言語のようなもので,この言語を操れるか否かで,異なる分野の研究者 (例えば経済学者) との相互理解の成否や効率が大きく左右されます.特に,講師が専門とするマルチエージェントシステムと呼ばれる研究分野ではゲーム理論の浸透が著しく,この言語がそれなりに使えなくては,研究者としてやっていけないような状況になっています.本チュートリアルでは,ゲーム理論という言語の入門として,ゲーム理論で扱われる諸概念の解説と,ゲーム理論の応用分野であるマーケットデザインに関して概説します.


資料の配布方法

講師のサイトからPDF 版をダウンロードできます.参加予定者は事前にダウンロードをお願いします.PDF は全部で三つありますので,ご注意下さい.


夏休みの読書課題にぴったりなシリーズ

横尾真, 岩崎敦, 櫻井祐子, 岡本吉央
解説論文シリーズ「計算機科学者のためのゲーム理論入門」

この解説論文シリーズは第5回解説論文賞を受賞しています.

解説論文シリーズのリーディングマラソンを始めます.二日でひとつ,十日で全編を読破します.リーディングマラソンのスタートは,8/20 に Twitter アカウント (@jssst2015) にて.


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